Vercel × Sanity で個人事業主が自分でサイト運用する最小構成

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「WordPress のプラグイン更新が面倒」「テーマカスタマイズでサイトが重くなった」「修正のたびに制作会社に依頼している」。個人事業主からよく聞く悩みです。これらを解決する選択肢として、Vercel と Sanity を組み合わせた構成が現時点で現実的です。
この記事では、両サービスの役割、月額コスト、できることとできないこと、導入の判断軸を個人事業主目線で整理します。OceansBase もこの構成で運用しており、実体験を交えて解説します。
Vercel と Sanity の役割分担
両者はそれぞれ役割が完全に分かれています。Vercel はサイトを表示するホスティングサービス、Sanity は記事や画像などコンテンツを管理するヘッドレス CMS です。WordPress が「サーバー + テーマ + DB + エディター」を一体で提供していたのを、役割ごとに分離したイメージです。
Vercel の役割
Vercel は Next.js (React ベースのフレームワーク)を動かすためのホスティングサービスです。サーバーの管理、ドメイン設定、SSL 証明書、グローバル配信などをすべて肩代わりします。Git 連携でコードを push すると自動デプロイされるため、手動 FTP アップロードと無縁です。
Sanity の役割
Sanity はコンテンツを保存するデータベースと、スタッフが記事を書くための管理画面(Studio)を提供します。全てクラウド上で動くため、サーバーのストレージを意識する必要がありません。記事を更新すると API 経由で Vercel 側にデータが供給され、表示に反映されます。
WordPress との考え方の違い
WordPress ではサーバーと CMS が同一だったため、プラグイン更新、セキュリティパッチ、データベースバックアップ、PHP バージョン管理をすべて自分でやる必要がありました。Vercel + Sanity ではこれらがサービス側で自動処理されるため、ユーザーはコンテンツ作成に集中できます。
月額コストの実態
個人事業主規模のサイトなら、両サービスとも無料プランで始められます。トラフィックが増えてから有料プランを検討すれば十分で、最初から費用を心配する必要はありません。ただしスケール時の費用感覚も事前に掴んでおくと、判断を誤りません。
Vercel Hobby プラン(個人利用)
個人事業主・フリーランスのコーポレートサイトやブログとしては無料で使えます。月間転送量 100GB、ビルド時間月 6,000 分と、個人サイトには十分な枠です。ただし商用利用は利用規約上グレーで、厳密に見れば有料の Pro プラン(月 20 ドル / 約3,000 円)への移行が推奨されます。
Sanity Free プラン
Free プランはコンテンツ最大 10,000 件、帯域 10GB まで使えます。個人事業主規模のサイトでこの枠を超えることはほぼないため、実質無料で運用可能。動画や高解像度画像を大量に扱うケースのみ Growth プラン(月 99 ドル)を検討します。
ドメイン代と SSL
.com ドメインで年額 1,500 〜 3,000 円程度。SSL 証明書は Vercel が Let's Encrypt で自動発行してくれるため追加費用ゼロ。WordPress 時代に「レンタルサーバー + SSL オプション」で月額 1,000 円超えていたコストが不要になります。
できることとできないこと
万能の構成ではありません。WordPress で当たり前だったことが Vercel + Sanity ではハードルになるケースもあります。移行を判断する前に、向き・不向きを押さえておきましょう。
できること
- コーポレートサイト・ブログ・ランディングページの構築
- 問い合わせフォーム(API Routes とメール送信サービス連携)
- 証明書・事例をデータベースで管理する動的サイト
- 画像の自動最適化(Vercel がレスポンシブ画像を自動生成)
- プレビュー環境での下書き確認
できないこと(主要なもの)
- 会員登録システムや会員限定コンテンツ(可能だが追加実装が必要)
- ショッピングカートと決済連携(Stripe との連携は可能だが追加実装)
- WordPress プラグインでクリックして追加できていた機能の大半
- PHP ベースの既存テーマの転用
導入の判断軸
Vercel × Sanity が向いているケースと向いていないケースが明確にあります。全員が移行すべきという論ではなく、自社の実態と照らし合わせて判断してください。
向いているケース
- 主にコーポレートサイト + ブログで、ショッピングや会員機能は不要
- WordPress の保守・セキュリティ作業を手間に感じている
- サイト表示速度を重視している(SEO ・ UX 両面)
- 少しだけコードが読める、またはコードエディタを触ることに抵抗がない
向いていないケース
- EC サイトや会員コミュニティサイトがメイン
- コードエディタを一切見たくない、ターミナルも難しい
- 既存 WordPress サイトのデザインを 100% そのまま移植したい
- 複数人で電話サポート付きで依頼したい(米国企業なので電話サポートは英語のみ)
OceansBase での実装例
このサイト(OceansBase)も Vercel + Sanity の構成で運用しています。ブログ記事・事例・サービス紹介・問い合わせフォームをすべて一人で管理しています。実体験としてのメリット・デメリットを共有します。
良かった点
サーバー・データベース・SSL 証明書・CDN 配信を一切意識せず、記事作成だけに集中できるのは大きなメリット。サイト表示速度も Lighthouse スコア 90 台後半を維持しており、SEO 面での不利もありません。
苦労した点
初期設定は WordPress より手間がかかります。Next.js のセットアップ、Sanity のスキーマ設計、Vercel の環境変数設定など、コードを触る作業が含まれます。全くコードを触らずに始めるのは難しく、最初は詳しい人に依頼するか、Cursor や Claude Code などの AI コーディングツールを使う選択肢が現実的です。
まとめ:選択肢に入れる価値はある
Vercel + Sanity は、個人事業主が現実的に選べるサイト運用構成です。コードを触る余地が必要で誰にでも向くわけではありませんが、保守負担の小ささ、表示速度、実質コストの低さは魅力です。
次のアクションは 3 つ。① 自社サイトが向いているケースか表でチェック ② Vercel と Sanity でそれぞれアカウントを作ってチュートリアルをさわる ③ 移行依頼または自身での実装を検討。「手出ししやすく、重くならないサイト」を手に入れたい個人事業主にとって、検討価値のある選択肢です。
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よくある質問
- Q. コードが全く書けなくても使えますか?
- A. ゼロで始めるのは難しいです。初期セットアップは詳しい人に依頼するか、CursorやClaudeCodeなど AI コーディングツールを使うとハードルが大きく下がります。運用(記事書き)は Sanity Studio が見た目 WordPress に近いため、コードを触らずに可能です。
- Q. WordPress からの移行は大きな作業ですか?
- A. 記事数 100 本以下なら、スクリプトで Sanity へインポートして数日で済む規模です。デザインを同じにしたい場合だけ、Next.js での再実装が必要になりそこが主作業になります。
- Q. EC サイトも Vercel + Sanity で作れますか?
- A. 作れますが追加実装が大きいため、本格 EC なら Shopify や Stripe チェックアウトとの連携を検討した方が近道です。コーポレートサイトとブログを中心に考えるなら Vercel + Sanity で十分です。
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