VB6 のサポートが切れた今、中小企業がやるべきこと【2026 年版】
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20 年前に作った VB6 と Access の業務システムが、まだ毎日動いている。社内では「動いてるからいいじゃないか」が口癖。けれど最近、起動が遅くなった、印刷でエラーが出る、開発を頼んでいた業者が連絡取れない――そんな小さな違和感が増えてきていませんか。
結論から言うと、VB6(マイクロソフト製の古いプログラミング言語)で作られたシステムは、もう「だましだまし使う」フェーズに入っています。マイクロソフトは 2024 年 4 月に実行環境のサポートも終了しました。今動いているのは奇跡ではなく、運の積み重ねです。
この記事では、卸売・製造・小売を中心とした中小企業の経営者向けに、サポート終了の本当の意味、今すぐ刷新すべきサイン、刷新しない選択肢、費用と補助金、最初の一歩までを順にお話しします。読み終わる頃には「次に何をすればいいか」がはっきりするはずです。焦らず、落ち着いて読み進めてください。
VB6 とは何か、なぜサポートが切れたのか
VB6 は「Visual Basic 6.0」の略で、1998 年にマイクロソフトが発売したプログラミング言語です。当時は最新の道具で、業務システムを安く速く作れるとあって全国の中小企業に一気に普及しました。販売管理、在庫管理、見積書作成、生産日報――いまでも現役の仕組みの多くが、この時代に生まれています。
ただし発売から四半世紀以上が経ち、マイクロソフト自身が VB6 から後継言語へと舵を切りました。開発ツール(プログラムを書く道具)のサポートは 2008 年に、実行環境(書いたプログラムを動かす土台)のサポートも 2024 年 4 月に終了しています。
つまり、これから VB6 で作られたシステムに脆弱性(セキュリティの穴)や不具合が見つかっても、マイクロソフトは直してくれません。Windows 11 や今後の Windows の更新で動かなくなっても、対応してもらえません。家にたとえれば「もうこの家の修理部品は工場で作っていません」と言われた状態です。
VB6 を使い続ける会社が直面している 5 つのリスク
「動いているから大丈夫」を続けると、どんなトラブルが現実に起きるのか。中小企業の現場で実際に起きている 5 つのリスクを整理します。
1. Windows Update で突然動かなくなる
もっとも多い事故です。月例のセキュリティ更新後、ある日突然「印刷ボタンを押すと固まる」「データベースに接続できない」が発生し、業務が半日止まる。原因は VB6 の古い部品と新しい Windows が衝突したケースが大半で、復旧には旧バージョンへの巻き戻しか、業者の緊急対応が必要になります。
2. ハードが壊れた時に再構築できない
サーバーや事務所の PC が壊れた時、同じ環境を新しい機材で再現できるか。VB6 アプリは古い Windows・古いドライバ・古いプリンタ前提で作られていることが多く、最新の機材ではそもそもインストールが通らないことがあります。「壊れたら終わり」のシステムは、もはやリスクの塊です。
3. 開発元の業者と連絡が取れない
20 年前に作ってもらった業者がすでに廃業している、担当者が退職して連絡が取れない、というケースが急増しています。ソースコード(プログラムの設計図)が手元になければ、別の業者に頼んでも改修できません。「鍵を持っている人が誰もいない金庫」を抱えているようなものです。
4. セキュリティの穴を塞げない
VB6 アプリには現代の基準で見ると緩い設計が残っています。サポート終了後は脆弱性が見つかっても修正パッチが出ません。社内ネットワークにつなぐ前提なら、ランサムウェア(データを人質にする攻撃)の入口になり得ます。取引先からセキュリティ監査を求められる場面でも、VB6 の存在は確実に減点対象です。
5. インボイス・電帳法など制度改正に追従できない
インボイス制度、電子帳簿保存法、消費税率の調整、取引先 EDI の更新――こうした制度・取引慣行の変化に、VB6 アプリは追従できなくなっています。改修依頼を出しても「対応可能な技術者がいない」と断られる、対応できても見積もりが数百万円単位で跳ね上がる。延命するほど 1 回あたりの修理代が増える構図です。
「いつまでもつか」のチェックリスト:今すぐ刷新が必要なサイン
次のチェックリストで、自社の VB6 システムが赤信号かどうかを確認してください。3 つ以上当てはまれば、来年度の予算検討に刷新を含めるべきです。
- 開発元の会社が廃業した、または連絡先が分からない
- ソースコードが手元にない、またはどこにあるか分からない
- システムが動いている PC を絶対に Windows Update してはいけない、と言われている
- 予備の PC を中古市場で買い溜めしている
- プリンタを買い替えると印刷できなくなるのが怖い
- Excel や CSV で出力できず、データ活用ができていない
- 改修見積もりが年々高くなっている
- 社内でシステムの中身を理解している人が 1 人もいない
5 つ以上当てはまる場合、いつ止まっても不思議ではない状態です。今すぐ業務が止まらなくても、半年・1 年以内に動き出した方が安全です。
刷新を「やらないで済む」3 つのパターン
ここで一度ブレーキを踏みます。すべての会社が今すぐ刷新すべきかというと、そうではありません。むしろ刷新を急がない方が合理的な場合もあります。当てはまるなら、無理に着手する必要はありません。
1. 事業終了・廃業の予定が 3 年以内に決まっている
後継者がおらず数年以内に事業を畳む計画なら、新システムへの投資回収は難しいでしょう。仮想マシンでの隔離運用と、紙・Excel での代替フローを並行で用意し、最後まで延命させる選択が現実的です。
2. 取引先からの要求が 10 年変わらず、業務も増減していない
取引内容も件数も安定し、新しい仕事を取りに行く予定もない――それなら、ネットワークから切り離した上で延命するという選択肢があります。電子データ連携が不要な業態に限られますが、現実的な判断です。
3. すでに別システムへの移行計画が動いている
クラウド会計や販売管理 SaaS への移行が決まっているなら、VB6 アプリは「移行完了までの臨時運用」と割り切れます。並行運用期間中はとにかく壊さないことを優先し、新システム側の業務定着に集中しましょう。
刷新する場合の選択肢:パッケージ / オーダーメイド / SaaS
刷新を決めた場合、選択肢は大きく 3 つあります。違いをひとつずつ整理します。
A. パッケージソフト(業界特化型)
卸売業向け、製造業向け、小売向けなど、業界に合わせた既製品を導入する方法です。初期費用 100〜500 万円、月額数万円が目安。導入実績が多く安心感はありますが、「自社の独自ルールに合わない」場合があり、業務をパッケージ側に寄せる柔軟性が必要です。
B. オーダーメイド開発(フルスクラッチ / Web 化)
今の業務フローに合わせて作り直す方法です。最近は Web アプリ(ブラウザで動くシステム)で作り直すケースが主流。費用は 500〜3,000 万円、期間は半年〜1 年半。社内ルールを変えずに済む反面、要件定義(何を作るかを決める作業)に経営者の関与が必要です。
C. SaaS 移行(クラウド月額型)
freee、マネーフォワード、kintone、Salesforce など、クラウドサービスへ業務を載せ替える方法です。初期費用が安く、月額数万円から始められます。一方でカスタマイズの自由度は低めで、業務の標準化が前提。中小企業がもっとも始めやすいのはこの選択肢です。
どの選択肢が合うかは、独自業務の量と社内 IT 人材の有無で決まります。判断に迷う場合の整理の仕方は、関連 LP の「現状診断シート」を参考にしてください。
中小企業がよく失敗する 5 パターン
刷新プロジェクトは、慎重に進めても 3 社に 1 社は何らかのつまずきを経験するといわれます。よくある失敗パターンを先に知っておくと、回避できる確率が大きく上がります。
- 現行システムの仕様書がないまま「同じものを作って」と発注し、肝心な業務ルールが抜け落ちる
- 見積もり最安値の業者に依頼し、要件追加で結局倍額になる
- 20 年分の過去データを「全部移行」と指定し、データ移行工数が膨張する
- 切り替え当日に旧システムを止め、トラブル時の戻し先がなくなる
- ベテラン社員の「これじゃないとダメ」を排除できず、新システム導入後も旧運用が並走する
対策はシンプルです。発注前に「現行業務の棚卸し」と「割り切り判断(捨てるデータ・捨てる機能を決める)」を経営者主導で行うこと。これだけで成功確率は大きく上がります。
補助金(IT 導入補助金 2026)を使えば実質負担はいくらか
中小企業の刷新で必ず検討したいのが IT 導入補助金です。レガシーシステムの刷新は、2026 年度の重点支援対象に位置づけられています。
- 通常枠:補助率 1/2、補助上限 450 万円。一般的な業務システム刷新が対象。
- インボイス枠:補助率 3/4(小規模事業者)、補助上限 350 万円。会計・受発注・決済領域に強い。
- セキュリティ対策推進枠:補助率 1/2、月額利用料の最大 2 年分が対象。
たとえば 800 万円のシステム刷新を通常枠で申請し採択されれば、自己負担は 400 万円程度に下がります。インボイス対応を含めた小規模事業者なら、より高い補助率が狙えます。補助金は採択されてから着手するのが原則なので、まずは申請計画から始めるのが正攻法です。
補助金申請の事業計画書づくりについては別記事で詳しく扱っています:2026 年版 事業計画書の作り方と AI 活用。あわせてご覧ください。
最初の一歩:現状診断の進め方
いきなり業者選びに走らないでください。最初にやるべきは、自社の現状を経営者自身が把握することです。手順は次の 4 ステップだけです。
- 現行システムの一覧化:いま使っているシステム名・導入年・開発元・連絡可否を 1 枚にまとめる
- 止まったら困る業務の特定:1 日止まると売上・信用がどれだけ毀損するかを部門ヒアリング
- データの棚卸し:本当に必要な過去データの期間を決める(多くは直近 3〜5 年で十分)
- 刷新方針の仮決め:パッケージ / オーダーメイド / SaaS のどれを軸にするかを社内で議論
ここまで揃ってから初めて、業者への相談に進みます。逆にこの整理がないまま見積もりを取ると、業者ごとに前提が異なる金額が並び、判断できなくなります。
OceansBase では「VB6・Access からの脱却」に特化した現状診断と刷新方針づくりをサポートしています。詳細は レガシーシステム刷新サービスのページ をご覧ください。診断だけのご相談も歓迎しています。
まとめ:焦らなくていい、でも動き始めるなら今
ここまでの内容を 3 行に要約します。
- VB6 はマイクロソフトのサポートが完全終了。動いている=安全ではなく、いつ止まってもおかしくない状態。
- 刷新の選択肢はパッケージ / オーダーメイド / SaaS の 3 つ。中小企業はまず SaaS 移行から検討。
- IT 導入補助金 2026 を使えば実質負担を半分以下に抑えられる。申請前に着手しないこと。
今日明日に決断しなくて構いません。ただ、現状診断シートを 1 枚埋めることだけは、今週中に着手してください。それさえあれば、半年後にシステムが止まっても落ち着いて動けます。動き始めれば、不安は驚くほど小さくなります。
関連記事
・レガシーシステム刷新サービス(VB6・Access からの脱却支援)
よくある質問
- Q. VB6 はもうマイクロソフトが完全に更新しないのですか?
- A. 開発ツール(IDE)のサポートは 2008 年、実行環境のサポートも 2024 年 4 月に終了しました。今後 VB6 のバグや脆弱性が見つかってもマイクロソフトは修正しません。Windows 上で動かす土台が消えたとお考えください。
- Q. Windows 11 でもまだ VB6 アプリは動きますか?
- A. 多くは「とりあえず動く」状態ですが、保証はありません。Windows Update や周辺機器の更新で突然動かなくなる事例が増えています。動いている=安全ではなく、いつ止まってもおかしくないとご認識ください。
- Q. VB6 を触れる技術者は本当にいなくなるのですか?
- A. 現役エンジニアの多くは 50 代以上で、毎年確実に減っています。求人広告を出しても応募が来ない、対応できる外注先が値上げを続けている、というのが現状です。10 年後に依頼できる人を探すのは現実的ではありません。
- Q. 自社の VB6 システムが今どれくらい危ない状態か知る方法は?
- A. 開発元の会社が存続しているか、ソースコードが手元にあるか、改修できる担当者が社内外にいるか、の 3 点をまず確認してください。ひとつでも欠けていれば、不具合発生時に直せない可能性が高い赤信号です。
- Q. 刷新せず延命する方法はありますか?
- A. 仮想マシン上で旧 Windows ごと隔離して動かす、ネットワークから切り離して攻撃面を減らす、といった延命策はあります。ただしこれは時間を稼ぐ手段で、根本解決ではありません。延命中に次の手を決めるのが現実解です。
- Q. 刷新にかかる費用と期間の目安は?
- A. 業務範囲によりますが、小規模な販売管理なら 300〜800 万円・半年前後、中規模の基幹系で 1,000〜3,000 万円・1 年前後が一般的な目安です。SaaS 移行で初期費用を抑える選択肢もあります。
- Q. 補助金は中小企業でも使えますか?
- A. IT 導入補助金 2026 はまさに中小企業・小規模事業者向けです。通常枠で対象経費の 1/2、インボイス枠なら 3/4 まで補助されます。卸売・製造・小売は採択実績も多く、十分狙える制度です。
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